しーしー奮闘記! 〜保育園の中心でコミュニティデザインを叫ぶ。〜

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LIFE SHIFTのまとめ① 「自分は何を大切に生きているのか」

さて、今回は読書録。

 

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

 

 

次回、Beyond Laboに向けて、現在、読み進めているのが、こちら『LIFE SHIFT』。

リンダ・グラットンと、経済学の権威アンドリュー・スコットによる「100年時代の人生戦略」をテーマにした本である。

 

ズバリ、本書の主題を一言で言ってしまえば、

  1. 100年以上生きる時代をどう過ごすべきか??
  2. どうすれば個人や家族、企業、社会全体が長寿化の恩恵に最大限浴せるか??

 

この2点である。そして、読み得た後に残される問いとしては、これ。

 

「自分は何を大切に生きているのか」

「何を人生の土台にしたいのか

 

以下、概要を少しまとめながら、感想を添える。

ちょっと長くなりそうなので、2部になりそうだが。

 

(超・駆け足での概要)

  • 長寿化の進行により、私たちは100年を生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすこととなる。新しい人生の節目と転機が出現し、「教育→仕事→引退」という人生から、「マルチステージ」の人生へと様変わりする。それに伴い、引退後の資金問題にとどまらず、スキル、健康、人間関係といった「見えない資産」をどう育んでいくかという問題に直面するロールモデルがほとんど存在しない中で、新しい生き方の実験が活発になることが予想され、生涯を通じて「変身」を続ける覚悟が問われる。
  • 今後どんな時代が訪れ、どんな生き方を模索すればいいのか。その際、どのような有形、無形の資産が重要性を増すのか、どんな人間関係を築いていけばいいのか。企業や政府が取り組むべき課題は何か。この辺りが400ページに渡り述べられている。

 

※感想※

まさにBeyond Laboをやっている理由も、この「教育→仕事→引退」というステージが私たちの中で崩壊していることが目に見えているからである。

すなわち、社会人とは「教育を通して得た知識を金銭的価値に変えながら消耗していく」のではなく、「働きながらも学び続け、常に新しい資産(これは知識だけでなく、ネットワークなども含む)を獲得しながら様々なステージの変化に対応したり、キャリアの複線化に取り組んでいく」ということが念頭に置かれている。

 

まさに、最初の読書会にふさわしい本じゃないか!

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はい、続きます。

 

(1章〜3章あたり)

  • 約100年前の1914年に生まれた人が、100歳まで生きている確率はわずか1%だった。しかし、2107年の世界では、100歳生きることが普通の光景になっている。日本にいたっては、2007年生まれの50%は107歳まで生きると推測されている。
  • 健康、栄養、医療、衛生といった多分野におけるイノベーションによって、平均寿命は大きく上昇してきた。重要なのは、健康に生きる期間が長くなるということだ。認知症の解明と対処にも、今後大きな前進があると目されており、想像以上に長く生きられる可能性が高いといってよい。
  • 一方で、長寿化に伴い、老後の生活資金をどうするかという問題が差し迫ってくる。貯蓄率を高めるか、より高齢になるまで働くか、あるいはその両方の選択が必要となる。
  • また、新しいテクノロジーが労働市場を激変させていくことは明らかである。産業の新陳代謝が起こり、新しい職種が既存の職種を代替する。また、ロボットやAIに、高スキル労働者が代替される一方で、新しい雇用が生まれ、経済成長を牽引するという明るい見方もある。こうした変化の中で重要なのは、人々が精力的かつ創造的に生きるための新しい人生のシナリオを考えていくことだ。

※感想※

この辺りは、エビデンスに基づいた人口動態、技術革新について丁寧にまとめてある印象。

それにしても、本当に100歳まで生きるって、なんだか信じられないが、目の前の子どもたちにとっては、それが当たり前の世の中になるんだなぁ。

 

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そして、一つ目の大きなヤマ場が、この次。じゃあ、この100年時代・時代に必要な無形資産って何よ?って話。筆者は、長寿化の観点から重要とされる「見えない資産」は、生産性資産、活力資産、変身資産の3つに分類している。

 

(第4章)

見えない資産① 「生産性資産」

  • 生産性資産とは、生産性や所得、キャリアの見通しを向上させるのに役立つ資産を指す。ただし、キャリアの初期に身につけた専門技能を頼りに、長い勤労人生を生き抜くことは難しい。そのため、生涯を通じて、複数の新しいスキルと専門技能を獲得し続けることが重要になる。
  • 身につけておきたいスキルや知識は、経済的な価値を生み出せて、しかも希少性があり模倣困難なもの。具体的には、イノベーションを生む力・創造性」「意思決定やチームのモチベーション向上といった、人間ならではのスキルと共感能力」、そして「思考の柔軟性や敏捷性といった、汎用スキル」を育むことである。
  • また、仲間の存在も生産性資産の一端を担う。高い信頼性を持つ職業上のネットワークは、互いの成長やイノベーションの促進に大いに役立つ。また、時としてコーチや支援者となってくれたり、必要な人脈を紹介したりしてくれる。(こうした存在を、グラットンは「ポッセ」と呼ぶ。)
  • 評判も生産性向上に寄与してくれる。良い評判を得ていれば、高い能力があるのではないかと期待されやすく、守備範囲を広げやすい。ただ、評判の獲得には時間を費やさなければならない一方で、自ら評判を完全にコントロールすることは不可能に近い。今後は、ソーシャルメディアにより評判を左右する情報がますます拡散されやすくなるため、幅広い範囲で自分の評判を管理することが求められるだろう。

 

見えない資産② 「活力資産」

  • 活力資産とは、人に幸福感をもたらし、やる気をかき立てる資産を指す。具体的には、肉体的・精神的健康や、友人や家族との良好な関係などである。
  • まず、健康は長寿化時代において価値を増す一方だ。とりわけ、明晰で健康な脳を保つことは大きな意味を持つ。最近の研究によると、加齢により脳の機能が衰えるのを避けられないという常識が変わりつつあり、脳をくり返し使用すれば、機能を高めたりダメージからの回復を促したりすることもできるという。
  • また、活力の対局なる「ストレス」を引き起こす要因をうまく管理することも大事だ。中でも、職場と家庭のバランスをとり、両者での前向きな感情が伝播し合う効果は見逃せない。
  • そのほか、活力資産の形成に役立つのは、長い年月をかけて築かれ、深く結びついた親しい友人たちとの関係である。(これをグラットンは「自己再生のコミュニティ」と呼ぶ)

見えない資産③ 「変身資産」

  • 変身資産とは、人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力のことである。移行につきものの不確実性への対処能力を促す要素ともいえる。具体的には、次の3つの要素が必要となる。
  1. 「自分について良く知っていること」である。自分の過去、現在、未来について内省し続けることで、変化を経験しながらもアイデンティティと自分らしさを保ちやすくなる。(アンソニー・ギデンズ再帰的プロジェクト」)
  2. 「多様性に富んだ人的ネットワークを持っていること」だ。昔からのネットワークは同質性が高いため、変化を促すよりも、同質であることを後押しする傾向が強い。そのため、新しい視点を得て、変身を遂げていくには、大規模で多様性に富んだネットワークに接することが欠かせない。(これは、ポッソや自己再生のコミュニティとは異なる)
  3. 「新しい経験に対して開かれた姿勢を持っていること」である。変身の過程で既存の行動パターンが脅かされるときに、新しいやり方を実験し、受容する姿勢を持つのだ。すると、新しい生き方を探索し、適応することができるようになる。そこでは、型にはまった行動を打破する「ルーチン・バスティング」が必要となる。

 

※感想※

難しい言葉がたくさん登場するが、ここはきっと多くの人が納得する箇所ではないだろうか。

要するには、「①市場で稼げるスキルを身につけつつ、その切磋琢磨できる仲間を得て、評判を高めること」「②心身の健康にケアをして、家庭が自らの拠り所ともなるようにストレスを管理し、友人などの付き合いを大切にすること」「③内省を繰り返し軸を形成しながらも、新しい価値観と出会える多様性のネットワークの中に身を置くこと」この3点を大事にしていきましょうって感じですかね。

特に、Beyond Laboという場は、③の価値観を思い切り発揮していくような場にしていきたい。

 

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さて、ここまでは原則的な話が中心となったが、

具体的にライフステージはどのように変わっていくのか。

これが後半では語られていくことになるのだが、それはまた次回。

 

この本、面白い!!!!さすが25万部のベストセラー!!!