コミュニケーションの本質は。
10日目。
なんとか、ここまで来た。
先日の研修から引き続き、コミュニケーションをネタに書いていきたい。
今日は、こちらの本を紹介したい。
『ダイアローグ 対話する組織』中原淳・長岡健著、ダイヤモンド社、2009年
ついつい口癖のように「対話、対話」と言っているが、その対話とは何か。
そもそも、なぜ対話が大事なのか。雑談、会話と対話の違いは何か。
これらが気になって、本著に行き当たった。
さて、相手に何かを伝えるとき、
例えば、学校の現場において、先生が生徒に道徳的精神を伝えるとき、
例えば、ビジネスの現場において、上司が部下に企業理念を伝えるとき、
「相手に伝わる」とは、何をもって達成されるだろうか?
「情報の中身が正確に相手に伝わること」だろうか?
この問いに対して、筆者は、以下のように書いている。
(以下、引用)
…価値観や信念が「伝わった」かどうかは、聞き手の共感や行動・考え方の変化を引き出したとき初めて確認できるものだからです。つまり、内容を理解し、納得し、腹落ちすること。そうした理解のプロセスを経て、行動や思考が変わること。ここまでの変化を外的に観察することができて、はじめて「伝わった」といえるのではないでしょうか。
(以上)
つまり、コミュニケーションの本質は、
「情報の移動」ではなく、「人間の行動や思考の変化」
ということである。
たしかに、先日の研修でも、こんな言葉を聞いた。
『私は大学生を対象に90分の授業をやっている。最初の5分で、学生たちのイメージする保育の仕事を絵にかいてもらった。そして80分の講義を行った。子どもの発達の話、子どもを取り巻く環境の話、親の話、社会の話…エピソードなども交えながら。そして、最後の5分に同じように保育の仕事の絵を書いてもらうと、全く異なる絵を書いていた。このように何らかのインプットやアウトプットをしたときに、相手の思考や行動が変化することが、『学ぶ』ということよ』
…似ている。ここで大事なのは、『教える(ティーチング)』じゃなくて、『学ぶ(ラーニング)』と言っていること。
そして、『学ぶ』には、『主体性や意欲』が含まれおり、そこには単なる情報の伝達ではなく、行動や意思の変化が伴い、双方向の刺激がある。
非常に興味深いテーマなので、また続きを書きたいと思います。
文明と、文化の違いって何ですか?
9日目。
文明と、文化の違いについて。
保育の研修の中で、めちゃくちゃ有名な先生が仰っていた。
「食」は、「文化」です。
「子育て」も、「文化」です。
ところで、「文明」と「文化」の違いって、分かりますか?
これに対する明察が、この2年半、保育園でコミュニティづくりに関わってきて、
すっと腹落ちする内容だった。
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少し、遠回りになるが、研修のテーマは「コミュニケーション力が育つとき」だった。(最後に、文明と文化の違いを書きます)
そもそも、コミュニケーション力とは…
●自分の想いを分かりやすく伝える力
●意見の違いや立場の違いの理解
●自分と周囲の人との関係性を理解できる
●思い通りにいかない事への対応する力
例えば、1歳児が「おもちゃを友だちと取り合いっこしていて、すぐ、どうぞうどうぞ!」って貸している姿って違和感ある。
なんでも波風を立てずに、周りとの調和ばかりに気を取られ、自分の主張を一切しない1歳児。…もはや怖い。
それは、コミュニケーション力なんだろうか?
●自分の想いを分かりやすく伝える力
これは、大人、保育者の関わりが非常に重要。
社会的参照を見逃さない事が大切。
(大人の表情、感覚を頼りにしながら、子どもたちは感覚を学んでいくこと。例えば、道ばたのお花を見て「きれいだね〜」と感動する大人を見て、子どもは「お花ってきれい!」という感覚を手に入れていく)
●意見の違いや立場の違いの理解
●自分と周囲の人との関係性を理解できる
集団の中で、どのようにしたら気持ちよく過ごせるだろうか?
教育・保育の仕事は、初めから答えが決まっているものはなく、子どもたちと共に悩み、考え、毎回試行錯誤していくもの。教師が一律の枠や基準を与え、それに当てはまらない子に罰を与えるのは「調教師」である。これは、先生に従う事が正しいと言う権威主義的な考えを植え付けることにもなる。
特に、「何かが出来る事」を早く求め、育て急ぐ親が多い中、保育者としての専門性は、育ちの見通しや、子どもの内なる葛藤を親に伝えていくことがプロの仕事。
●思い通りにいかない事への対応する力
アタッチメントを通して、不安な状態から、安心できる状態へ。そして、意欲や自己肯定感を育てる事が大事。
マイナス(怖い、寂しい) → 0(安心) → プラス(うれしい、やってみたい)
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繰り返しで来てきた言葉、「育て急がない」。
翻って考えると、今の社会はどうだろうか?
大人の都合で、子どもに早く何か出来る事を迫っていないだろうか?
早く物わかりがよくなって、いい子に育て、読み書きそろばんができて、、、、、
しっかり自分の想いを表現できる、友だちとぶつかり合って葛藤できる、そんな子ども時代を保障できているだろうか?
これを再考させてもらえる研修だった。
最後に、
「文明」と「文化」の違いって、分かりますか?
これは、
「文明」は、手間暇を省くことを追求していきた歴史
…すいぶん便利な世の中になった。自ら手をかける事も少なくなった。
しかしながら、これによって人間社会は本当に豊かになったのか?
では、
「文化」は、手間暇をかけることで培われてきた歴史
…日本の食文化、まさにその通り。そして、子育てだって、文化。
楽をする事が目的ではなく、目一杯手間ひまを掛けながら、(もちろん、親だけにその役割を追わせるのではなく、社会で育てる事が前提)子どもをゆっくり、じっくり育てていく。
その意味で、保育の仕事は、人を作り、文化と社会を作る意義深い仕事。
この「文化」という考え方。もっと深めていきたいと思っています。
「まちづくり」は「ひとづくり」。そして「ひとづくり」は文化だと思います。
子育てと政治の距離
8日目。
子育てと政治の距離。
私は、もともと政治に近い仕事をしていたこともあって、
国会関係のニュースや政治の動向はちょっと気にしている。
今は、保育園で働いているので、幼児教育や保育に関係する話題(特に最近でいえば「保育園落ちた、日本死ね」以降の待機児童問題)はメディアに取り上げられることが多くなり、それ自体はいいことだと思う。ただし、不満を吐くだけでは何も変わらないとしたら、どんなアクションを取ったら良いのだろうか。
今日言いたいことを先に言うと、
「子育て世帯こそ、政治(特に地方政治)に関心を持つべき」
ということである。
なぜか。
それは、子育て(正確には妊娠〜)を通して、成人以降、はじめて行政サービスを受けるという認識を多くの人々は持つからである。
そして、そこに行政の作為・不作為や、政治の作為・不作為に関心を持ち、多くの場合は不満を持つ。
しかし多くの人は、その不満を、どのように発信したらいいのかが分からない。
「投票」という数年に一度の機会を逃したらそれ以外にアクションすることはできないのだろうか。
ましてや、国政選挙はいってるけど、自分の住む地方議会の選挙にどれくらいの人が行っているだろうか?
(ってか、そもそも誰が議員かも知らないし…状態の人も多いのでは)
私は、地方政治にこそ、「日常生活の問題意識」に根ざしたテーマで、主権者として関わりを持つべきだと思う。
そんな矢先、 共通の友人の結婚式で「原田謙介」(通称ハラケン)に出会った。
彼と、今後面白い企みを考えていくことになっているので、乞うご期待!
もっと子育てをしやすいまちに。
社会で、まちで子どもを育てるを文化に。
引き続き、様々なタネを蒔いていきたいと思います。
心と体を耕すこと。土づくりと教育の接点について。
7日目。
私は、耕す ということば大好きだ。
なぜなら、耕す ことこそ、教育の本質を感じるからだ。
昨日は、子どもたちと一緒に、ジャガイモを植えるための準備を行った。
屋上にある小さな畑の雑草を抜き、新しい土を足して、そこに落ち葉で作った腐葉土を加えて、しっかり混ぜる。
硬くなって栄養がなくなった土では、いい作物は育たないが、こうして柔らかく、栄養たっぷりの状態にして寝かせることで、最高の土が出来上がる。
人に当てはめると、0〜6歳の乳幼児期って、まさにこの時期になるのではないかと思う。
●食べること、運動することで、健康な体を作る
●興味のあることを探求することで、学ぶこと自体が楽しくなる
●色々な大人や子どもたちと関わることで、人と関わること自体を楽しみ、互いに助け合うことを学ぶ
●五感を使ってフルに体験し、小学校以降に有る知識や言葉の本来的な意味を感じる
ざっくりまとめてしまうと、耕すこととは、
市民として、生活者としての土台を作ることである。
保育園は、こども、おとな合わせても100人くらいの小さな社会である。クラスで考えると20人にも満たない。
その小さな社会の中で、子どもたちは多くのことを学んでいく。
自分の可能性を信じること、他人を信じること、他人に頼ることや頼られること、自分の存在を肯定する力を得ること、
こうした経験を積み重ねることがその周りに広がる大きな社会に出ていったときに、自分を見失わずに生きていくことができるのではないか。
そして、同時に、大人自身にも問いかけられる。
私たちの心や体は、柔らかく、栄養たっぷりの状態だろうか?
今日は、思うままに書いてしまった。
以上。
土作り後
土づくり前
分かりやすいしゃべり方に変えてみる、の件
6日目。
前回の話題は、一旦置いておいて…
(印象に残ったことは、その日のうちに書いておかないと忘れそうなので…)
今回は、分かりやすい話し方をしたい、という件。
なぜならば、仕事柄、人と会う機会、話す機会が多いのですが、
どうしても話が長くなって要点をまとめるのが苦手な私。
限られた時間の中で、しっかりと相手に物事を伝える術を体得する必要があるのです。
もちろん、世間話で盛り上がるのは多いに結構だけど、
散々脱線した挙げ句、「で、結局何が言いたかったの?」ってことになっては悲惨です。
これを改善するには、以下の動画が参考になる。
友人の上司がFacebookに投稿していた内容が非常に明快。
ポイントは、2つ。
コミュニケーションにおける基本的な手法である、「KISS」と「PREP」。
「KISS」
Keep It Simple Short
とにかく一文を、短く、簡潔に述べること。
「PREP」
Point ⇒ Reason ⇒ Example ⇒ Point
まず最初に要点を簡潔に。その後、理由、具体例と続き、最後に要点を話す。
この2つを意識するだけで、相手へ伝わる内容が、ぐっと精度を増す。
というか話すときだけでなく、思考の枠組みとしても、癖にしていきたい。
というわけで、今後のBlogを書く上でも活用してみたいと思います!
(例文)
point
まちぐるみの保育を実践する上では、まずは保護者との信頼関係が大事です。
reason
なぜならば、保護者は最も身近な地域の人であり、保護者の人と信頼関係を築くことで、地域のハブとなる人物を紹介してもらえたり、子どもと外部の人が接触する上で、安心感を持ってもらえるからです。
example
実際、保護者の人が所属する団体を紹介してもらって、子どもたちの活動に協力をいただくきっかけをもらったこともあります。この活動は、子どもはもちろん、保護者の方からも非常に好評で、今でもプロジェクトは継続しています。
point
このようなことから、保護者の人との対話を大事にして、日頃から信頼関係を結んでおくことがポイントになります。
保育や教育の現場における業務改善を考えてみる件
5日目。
最近、保育園を取り巻くニュースは見ていて悲しいものが多い。
特に、保育士の働く環境は、長時間労働が前提となっていたり、きちんと残業代の保障がなかったりと、あまりに酷いものばかりだ。
では、これは保育園に限った問題なのか?
小学校や中学校の先生は、どんな働き方をしているのか?調べて見た。
公立小中学校の教員はブラック勤務が前提?!
週60時間以上働いても残業代は支払われず
2017年03月03日
http://toyokeizai.net/articles/-/160897?page=2
ううん、保育園よりも悲惨かもしれない。
確かに、近くの小学校は夜になっても煌々と電気がついている。
やはり教育の現場はどこも同じ問題を抱えているのではないか、、、
本来は子どもたちと向き合う時間をいかに充実したものにするか考えるはずが、書類やパソコンとにらめっこばかりして、気力体力を奪われていく、、、これでは本末転倒である。
そこで、しばらく
教育の現場における業務改善について考えみることにした。
○目的
保育や教育の現場における業務改善を行うことで、保育士や教師が自らの学びにあてる時間を十分に確保したり、心身ともに健康で過ごせる働き方をすることで、より質の高い授業が持続可能な形となることを目的とする。
○仮説
なぜ、仕事が多いか。それをいくつかの仮説に基づいて検証してみる。
①先生がやらなくてよい仕事までやっている
→仕事の、線引き をする
②何人もの先生が同じ仕事をやっている
→重複がないよう、 フォーマット化 をする
③ルーティン化すれば効率化できることを、毎年同じ仕事が発生している
→誰が見てもわかる形で 振り返り、引き継ぎしておく
④外部のノウハウ、ITを使えば効率化できることを、全て既存のリソースでやろうとしている
→全てを内部で解決せず、 外部リソース を活用する
⑤そもそも時間内に終わらせて、学びに当てようという気持ちがない
→モチベーションの高い、外向き組織への変革
まだまだ挙げればキリがなさそうだが、、、
そんなことを考えていたところ、以下の本に出会ったので、次回から、この本で得た気づきを書いていきたい。
仕事の問題地図 ~「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方 https://www.amazon.co.jp/dp/4774187747/ref=cm_sw_r_cp_api_4iS6yb97MHDZ2
一般向けの、プロジェクトマネジメントの本である。
元々ITや建設現場で使われることが多いPMの概念を分かりやすく書いているので、これを教育現場に活かす視点で掘り下げていきたい
それでは、今日はここまで。
保育園、誰のためのものか。地域編
4日目。
保育園は、誰のためのものか。
もちろん、通所している子どものため。
そして、就労、または求職や病気のために子どもの保育ができない親のため。
長らく、以上の大きな二つの役割を果たしてきた。
そこに、地域子育て支援事業が位置付けられ、保育園に通っていない子育て家庭に対しても、保育園の専門性を活かした支援が行われる。
それでは、保育園の専門性とは何か?
意外と知られていないが、保育園には、「保育士」「看護師」「栄養士」がいる。
つまり、単に「子育て支援」といっても…
・子どもの育ち(生活・遊び等)の面でのサポート
・子どもの健康面でのサポート
・子どもの栄養面でのサポート
・これらに付随する親御さんの悩みのケア
と様々な切り口ができる。定期的に、地域の子育て家庭に声をかけて、こうした相談会を実施する。
このときに注意しているのは、一方的にアドバイスをするのではなく、
参加者同士にどのような関係性がはぐくまれたか。
「支援する側」「支援される側」という関係を作らずに、
「共に育ちあう、学びあう」という関係を作ることだ。
少し月齢の大きい子を見て、育児の見通しを持ったり、
少し月例の小さい子を見て、少し前の育児の悩みを重ねて見たり、
互いに「ウチはこうしてる」「これを試してみたらよかった」などの話をしながら、
保育士の立場からフォローできるところをさりげなく伝える。
自分の知識を単に伝えるのではなく、参加者から悩みやヒントを引き出していき、当事者同士で解決の方策を考える。
共に課題を悩み、共に解決を喜ぶプロセスを経て、地域の子育てコミュニティを作って行く。
これは、かなり腕のいることであるが、私は場のコーディネートをして、進行はベテラン保育士さんにお任せしている。
やはり、この道40年以上の先生がいてくれると、それだけで場に安心感が出るのだ。
些細なことかもしれないが、この小さな子育てコミュニティを少しずつ作っていき、いざというときに頼れる人がいて安心できるコミュニティを目指していきたい。